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哲人中村天風の誕生

どくとるは天風哲人に心酔しているが、天風哲人誕生時の状況を著した箇所を見つけた。ちょっと長いが、「良くも悪くも、自分自身の心の中の思いや考え方が、自分自身をつくり上 げる」ということが、実感を持って感じられると思う。

中村天風は1911年5月25日にヨーロッパから日本への帰路に就くが、その途中経由地であったアレキサンドリアにてインドのヨーガの聖人であるカリアッパ師と邂逅。そのまま弟子入りしヒマラヤ第3の高峰カンチェンジュンガ山麓にあるゴーク村で2年半修行を行う。この修行を通じて結核はすっかり治癒し、さらに悟りを得るに至った。


写真 (2)

夜明けと共に、山あいの霧がゆっくりと上がっていった。おそい朝日に温 もりがようやく感じられ始めたころ、マヤム川の囁(ささや)きが、今日ははっ きりと聞こえる。
聖人カリアッパ師から、頭の中を空っぽにしろといわれてもう五日は過ぎ た。「私は空っぽになるのだ」と朝、昼、晩と自分に言いきかせた。もう大分、 頭の中が空っぽになったようだ。そのせいか、今日は、妙に気分がいい。
今日こそカリアッパ師に、病気の治し方を教わろう。聖人といわれる人だ から、彼は今日の私をみれば、私がどれだけ空っぽになったかがわかるはずだ。 早く私の病気を治してもらわないと、間に合わなくなる。
中村(天風)は、カリアッパ師と会うのが楽しみだった。
ようやく、朝のお勤めにカリアッパ師は、姿を見せた。カリアッパ師は、 いつものように、ひとりひとりと挨拶しながらやって来た。中村は、皆に混っ て神妙に待機した。そのときカリアッパ師は、中村に一瞥(いちべつ)しただけ で通り過ぎようとした。「カ、カリアッパ先生!」思わず声に出した。ギョロ リとした目をむいて、カリアッパ師は振り向いた。
「先生、私はもう頭の中は空っぽになっています」。なぜか情けない気持 ちがして、哀願するように言った。カリアッパ師は、じいっと中村を見つめた ままだった。沈黙が二人の間を走った。
「本当か」、ようやくカリアッパ師は声をかけた。
「ハイ、あれから毎日、頭の中を空っぽにしようと努力しました。もう大 丈夫です。私はもう教わる準備が出来ております」。
早く、教えてくれないと、私の病状はますます悪くなって間に合わなくな るという気持ちがあった。今さら、このままではもう日本にも帰れない。切羽 詰った状況だった。
その時、二人の間に、野良犬が一匹横切った。「おい、その犬を連れてこ い」。すかさず、カリアッパ師は、弟子たちに命じた。犬が抱えられて戻って きた。何事かと犬はおびえていた。
中村の目の前で、カリアッパ師は、その犬を抱きかかえ、片手で腰の小刀 を抜くや、さっと足を切った。悲鳴と共に血が飛び散った。犬は必死に飛びお りて、素早く逃げて行った。
「おい、中村ッ」と言うや否や、カリアッパ師は、中村の腕を取って、同 じ小刀でグサッと切りつけた。「何をなさるんですかッ」、思わず中村は叫ん だ。
見れば、先程の野良犬の血のついたままの小刀だ。緊張感が走った。
怒り心頭をようやく抑えて、中村はつくづく思った。ここは亜熱帯性の気 候だ。山深い谷間の、湿気の多い小さな村だ。どうみても衛生的には最悪の状 態だ。薬も消毒薬も包帯もない。おまけに野良犬の血のついた小刀で切られた。 下手をすると、間違いなく、破傷風になるだろう。条件が揃いすぎている。状 態は深刻になった----。
「どっちが早く治るか、競争だな」。無責任なことを言って、カリアッパ 師は立ち去った。
もう怒る気力もない。ふてくされて横になった。破傷風になったらどうし よう。私は医者だからよく知っている。こんな所で、予防も治療も出来ない。 そういえば、ズキズキと痛む。痛み方が尋常ではない。こんな所で破傷風で死 にたくない。
翌日、気のせいか腕が重い。もうカリアッパ師と会う気もしない。開き直っ て寝ていた。破傷風の文字が頭から離れなかった。
二日経った。高熱が続いた。腕はすでに化膿している。全身に寒気を感じ た。時々痙攣(けいれん)のようになる。やはり間違いなく破傷風だ。腕はもう 上がらなかった。ひと晩中、うなってたようだ。肺結核で死ぬとばかり思って いたのに、こんなわけのわからぬ所で、破傷風で死ぬのか。ひとりぼっち。孤 独だが、もうどうにでもなれという気持ちになった。
「おい、どうした?」朝、カリアッパ師がやって来た。すっかり弱気になっ て、中村は、起き上がった。「やはり、破傷風になりました」。だから言わん こっちゃないと、中村は恨めしくカリアッパ師を見上げた。
事情を察したカリアッパ師はゆっくりと中村の腕をとった。
「ほう、かなりひどいじゃないか」。
感心してる場合じゃない。しかし、抗議する元気もない。
「おい、この間の野良犬を掴まえて来てくれ」。カリアッパ師は、弟子た ちに命じた。もう野良犬なんか見たくもない。中村はただうずくまったままで いた。
どこでどう見つけたのか、弟子たちはこの間の犬を掴まえてきた。「よし、 よし」そういって、カリアッパ師は、その犬を大切そうに、しっかりと抱きか かえた。
「おい、中村、この犬の足を見ろ。すっかり治っているぞ」。「ハイ」。 「ふむ、よく見たか、治ってるだろう」。「ハイ、確かに治っています」。 「そうだ。しかしお前はどうだ?」。「-----」。
カリアッパ師は、犬を離して、再び中村の腕をとった。「随分、腫れたも のだ」。いい加減にしてくれと中村は思った。
「中村、お前に聞くが、なぜ犬は治ったのに、お前は治らないんだ?」
「あちらは、犬ですから」。冗談じゃない。犬と一緒にされてたまるかと 思った。
「ほう、あちらは犬だから治ったのか、じゃお前は何だ?」、「人間です よ」、吐き捨てるように言った。
「それじゃ聞くが、犬と人間と、どっちが上等に出来ているんだ?」、 「もちろん、人間です」、くだらん事を聞くと思った。
「そうか、ではもう一度聞くが、下等な犬が治って、上等な人間がなぜ治 らない?かえって悪くなっているではないか」、「......」、
「さあ、どうだ?」、返事に困った。
「中村、あらためて聞くが、お前の職業は何かね?」、「ハイ、医学博士 ということになっています」、「医学博士?それはどういうことをする職業な のだ?」、「ハイ、人の病気を治したりします」、「ほう、病気を治すのか。 それならあの犬は医学博士なのかね?」、「いえ」、とんでもないと、中村は 首を振った。
「では聞くが、医学博士でない犬が治って、医学博士のお前が治らないで、 かえって悪くなっているのはどういうわけかね」、「-------」。
中村は言葉に窮してだんだん小さくなった。
しばらくカリアッパ師は、中村の顔を見つめていた。憐れむように優しく カリアッパ師は語り出した。
「なあ、いいかい。この前、あの犬が足を切られたとき、犬はどうした? 切られた箇所をひたすら舐(な)めながら、必死に逃げて行ったろう。理屈抜き に、傷口を舐めて舐めて、治ることを信じてただ舐め続けておった。ところが、 お前はどうだ? 何を考えていた? 私が代りに言ってやろうか?」、
中村は妙に素直な気持ちになった。
「いいかい、お前は咄嗟(とっさ)に考えただろう。こんな野良犬の血のつ いたままの小刀で切られた。あいにくここは亜熱帯性気候だ。湿度も高く、お まけに不衛生な環境だ。消毒も薬も包帯もない。これでは、傷口から破傷風菌 が入って、外毒素のために中枢神経がおかされる。間違いなく破傷風になると 思ったろう!」
「ハイ」、思わずうなずいた。しばらくおいてもう一度、「ハイ、その通 りです」といって神妙に頭を下げた。
「そうだろう、いいかい? お前が思ったその通りになったのだ」。それか ら静かに言葉を続けた。
「人間はね、自分の思った通りになるものなのだ」。中村は、初めて心に 染(し) み通る言葉を聞いた。このときが、哲人中村天風の誕生だといえよう。
良くも悪くも、自分の心の思いが、自分自身をつくり、自分の運命も、自 分の人生をもつくりあげていくのだ。


ぷらす1

「ブラックスワン」ではセレンディピティのまわりでウロウロしてエクスポージャーを高める。ふとした偶然をきっかけに幸運をつかめる。パーティーへ繰り出そう!(人と積極的に会え) と書いたが、もっと簡単で確実な方法は正身統一法や正心調息法を行うことである。

どくとるはジョギングを続けているが、最近この正心調息法を応用して、腹式呼吸でたくさんの空気を取り入れるようにしたが、走れる距離が1.5倍に伸びたし、息が苦しくなくなった。人間、食べ物を食べないと一ヶ月位で亡くなる。水だと1週間、空気だと数分といわれている。それほど、空気(呼吸)は重要だ。


ぷらす2

結末が予想困難な動画



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From 10/Jun/10
プロフィール

ドクトルさかもと

Author:ドクトルさかもと
人生は楽しむためにある(衆生所遊楽)と考え行動する人の倶楽部です。人生(生活)を楽しむには健康で、ロマンのあるやるべきことを持ち、コミュニケーションを大切にし、セレンディピティを生かすことだと考えています。
ホーチミン市と八王子市にあるおうちBarはDual Lifeのリアル, VR/MR拠点として整備中です。


【メンバー資格】
年齢・性別・国籍・職業・有名無名…は問いません。人生を楽しむ、楽しみたいという“気”があり、お酒が飲めることが条件です。

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おうちBarサイゴン・八王子





ホーチミン市と八王子市にある「おうちBar」は皆のおうちです。気は主客一体ですので、リアルでおうちに来られる時はお酒やツマミの持込をお願いします。パッ~といきましょう!

どくとるさかもとプロフィール
doctole_2015032215022060c.jpg 1949年東京生まれ。 1973年立教大学社会学部観光学科卒業。ホーチミン市在住。 貿易専門商社で輸出入、委託加工貿易を担当し、世界50カ国以上に出張経験を持つ。ベトナムではベトナム初の日本料理店を開店させたり、初代駐在所長を歴任し、駐在事務所設立や各公団との事業提携及び生産管理などを行う。 1995年、貿易専門商社より独立しインドシナビジネスネットワーク社を設立。 2005年5月、日本からお花見セットを持参してフンザ王国でお花見を敢行。 2007年2月、リオのカーニバルにマツケンの衣装を着て参加、リオNo.1のディスコで踊りまくる。 還暦を契機に、長年の考えを具現化した熱帯楽園倶楽部を立上げ、更に人生を大いに楽しもうとしている。 キャッチフレーズ:ウソと冗談の嫌いなどくとる
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